大判例

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東京高等裁判所 昭和31年(う)368号 判決

被告人 岡田一男 外一名

〔抄 録〕

弁護人の控訴趣意第二点について。

論旨は、原判示第一の(二)及び第二の(一)の(2)については、原判決は被告人の自白以外に何らの補強証拠なくして有罪の認定をした違法がある、というのである。そこで原判決及び記録を調査すると、右原判示第一の(二)及び第二の(一)の(2)の事実については原判決は被告人岡田一男の検察官事務取扱検察事務官に対する供述調書と被告人稲石小三郎の検察官及び検察官事務取扱検察官に対する各供述調書とによりこれを認定していること及び右各供述調書については原審公判廷において証拠調が行われた際特に当該被告人に対しては刑事訴訟法第三百二十二条により、相被告人に対する関係においては同法第三百二十一条第一項第二号により証拠調をなす旨を明示せずしてこれが取調が行われたことは所論のとおりである。かかる場合右の各供述調書はそれぞれ当該被告人に対する関係のみにおいて刑事訴訟法第三百二十二条により提出されて各別にその証拠調が行われたものであるか、また当該被告人に対する関係においては同法第三百二十二条により、相被告人に対する関係においては同法第三百二十一条第一項第二号により提出されてその証拠調が行われたものかについては必ずしも明確ではないのであるが、検察官はもとより共同被告人たる被告人岡田一男及び同稲石小三郎両名の本件犯罪事実を証明するために前記被告人両名の検察官及び検察官事務取扱検察官に対する各供述調書を提出したのであるから、右は特に反証なき限り後者の場合、すなわち、当該被告人に対する関係においては刑事訴訟法第三百二十二条により、相被告人に対する関係においては同法第三百二十一条第一項第二号により証拠調の請求がなされてこれが取調が行われたものと解するを相当とする。而して右各供述調書の形式及び記載内容を仔細に検討し、記録に現われた被告人らの司法警察員に対する各供述調書並びに他の関係人の供述をも参酌すれば、右供述調書中の各供述は原審公判廷における被告人らの供述よりもこれを信用すべき特別の情況の存する場合であることが窺われるから右はいずれも証拠能力があり、互にその補強証拠となり得るものといわなければならない。畢竟論旨は理由がない。

(花輪 山本 下関)

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